ポーラ・シェア「Serious Play」

Victor Chia  UIデザインディレクター

2019年2月4日から3月25日に東京のギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催された、世界的に影響力のあるグラフィックアーティストとして認められているPaula Scher(ポーラ・シェア)の感動的な作品の数々をご覧ください。「Serious Play(シリアス・プレイ)」と名付けれたこの展示会は、音楽業界での初期のキャリアから彼女が世界最大級のデザイン会社、Pentagram(ペンタグラム)の一員となるまでの豊富な作品を見ることができます。

まずギャラリーの1階に入ると、ポーラが副業で行った手描きのマップの数々に圧倒されるでしょう。マップには複雑に入り組んだカラフルな国や郵便番号など様々な情報を見ることができます。彼女は、インフォグラフィック(イメージを通して情報を伝えること)ではなく、アートワーク(それ自体が一つの作品)として世に出ることを目的としていたため、所々に都市のスペルミスや、配置または境界線などが適切ではありません。彼女のもう一つの顔である、コーポレート向けのデザインとは全く対照的な作品です。

2階へ上がると、多くの広告ポスターをはじめ、レコードや本の表紙、だれもが知っている幅広いデザインワークが飾られています。 作品の中には、ニューヨーク・パブリック・シアターの新しいアイデンティティと宣伝グラフィック「Bring in ‘da Noise, Bring in ‘da Funk」も見ることができます。型にはまらない空間の使い方、フォントの太さと色の混在、普段は使用しないような書体などポーラのテキスト重視のポスターは大量の情報を「動き」と豊かな「表現力」で魅力を感じさせます。彼女の大胆なタイポグラフィック(活版印刷)のアプローチ方法は、デザイナーたちが当時の整ったグリッドデザインを否定し始めた90年代に新しいトレンドを生み出しました。

ギャラリーでの展示会オープニングに彼女は登場し、自分の経験を「現場から学ぶ人生」とし共有してくれました。Q&Aセッションを含む彼女の公演は、ギャラリーの3階で行われ動画も再生されています。YouTubeで見る

展示会は3月25日まで行われ、入場料は無料です。